代用有価証券の掛け目とは


投資家が証券会社に差し入れる担保のことを委託保証金と呼びます。 ネット証券では、委託保証金が事前に口座に入っていないと、あといくら建てられるかという信用建て余力は0円と表示され、信用取引の注文を出すことはできません。 委託保証金には現金のほか、証券取引所が決めた有価証券、上場株式(ETFやREIT)や公社債などを使うことができます。 これらの有価証券を代用有価証券と言います。 これは現金ほど自由に出し入れできず、株式と公社債とでは価格の動きが本質的に異なるため、同じ担保として扱うことができません。 そのため、それぞれを現金に換算するときの掛け率を証券取引所が決めています。 これが代用掛目といいます。 現金は100%、東証一部上場の株式なら80%、新興市場だと60〜70%等となっています。 証券会社によっては独自のルールを適用しているところもあります。




国債、個人向け国債、割引金融債、転換社債、普通社債、外債などの債券を使おうとするときは、口座を開設した証券会社に確認しましょう。 建玉の約定金額(建て代金)の合計に対する委託保証金の割合を委託保証金率といいます。 法律では委託保証金率の最低基準は30%以上と決められていますが、証券会社の判断で変更されることもあります。 信用取引では、あといくらまで買建て(売建)できるか、つまり信用建て余力の状況を常に把握しておく必要があります。



建て余力はもっとも大切な項目ですから、出来る限りマスターするようにしてください。 ネット証券を利用していれば、建て余力は取引画面に表示されますが、その仕組を理解しているのといないのとでは、売買の結果は大きな違いが出ます。 株価が動いた時に、余力はどのように変化するのでしょうか。 建玉の株価が上昇したときには、残念ながら建て余力が増えることはありません。 株価が上昇したことで余力を増やしたいなら、現引きをするか、利益を確定して委託保証金を増やす以外に方法はないのです。

問題は、建玉の株価が下落して、含み損を抱えてしまったときです。 たとえば、1200円で2000株買建てした銘柄Aは120円下落すると、含み損は24万円です。 建て余力を計算するときは、300万円あった委託保証金が24万円減ったと考えるため、株価が120円下がった段階では276万円とみなされてしまいます。 当初は1000万円まで建てられましたが、株価が下落したため920円までしか売買できなくなってしまいました。 すでに、320万円の玉がありますから、10%の含み損を抱えた状態での余力は600万円になり、含み損の3倍以上も減ってしまうことになります。 今度は、代用有価証券に指定している現物株の株価が動いたときに余力はどのように変化するか検討しましょう。 代用掛け目は毎日更新され、あたらしい評価額は計算の基礎になります。


株価が1500円の銘柄Cを1000株、代用有価証券に充てているときの評価額は120万円です。 委託保証金率が30%であれば、400万円まで買建てすることができます。 まず銘柄Cが300円値上がりして1800円になると、委託保証金は24万円増加して、144万円になり、余力も80万円膨らみます。 現物株の値動きにも注意しましょう。 相場が強含みのときには多少は強気に買建てしても良いです。 しかし、相場が下降トレンドで推移していたり、暴落したあとのリバウンド相場になったときに同じスタンスで建玉を持つのはリスクが大きいです。 相場が急変したときに対応することができずに、大きな損失を被るおそれがあります。

相場は予告なしに下降トレンドに転換します。 しかも、下げはじめは単なる調整くらいにしか感じられなかったりするところが、相場の難しさでもあります。 この点から考えると、建玉管理は余裕を持っておくべきなのです。

世界同時株安のときには、ほぼすべての銘柄がストップ安売り気配になり、売るに売れない状況になりました。 最悪の事態は、そう頻繁にはありませんが、リスクを想定した投資を心がけるべきでしょう。