逆日歩による踏み上げ相場


信用取引の規制は、買い残や売り残の状況が一定の水準に達すると発動されます。 もちろん、それまでの株価の動きや取引の状況も考慮されます。 一般的には、普段に比べて高水準の出来高が継続し、信用残が急増すると、規制される可能性は高くなります。 とりわけ、中間決算前や本決算前には、配当取りや株主名簿に記載させるために現物株が吸い上げられます。 貸し株の市場流通量は極端に減少するため、通常よりも注目されやすくなります。 なかでも、品薄株は要注意です。




売り建てしているときには、強烈な逆日歩や踏み上げ相場に警戒しなければなりませんが、買建てサイドも、上昇する株価を見て喜んではいられません。 逆日歩による踏み上げ相場は売り方の買戻しと、それを期待した買い方が参加して形成され、買戻しに目処がついて相場の勢いが弱まれば、今度は買い方が売り逃げようとして株価が暴落するからです。 また、規制や逆日歩などをしらなければ、期末の株価上昇を好決算を先取りする相場と勘違いしてしまうこともあります。 現物取引だけをしているときでも、信用残、逆日歩などの状況には常に目を通しておくべきなのです。



品薄株の規制強化の過程を名村造船所(7014)で実際に見てみましょう。 同社は、発行株式数が約4480万株、浮動株比率は10.7%と小型品薄株の代表的な銘柄です。 株価は2004年以降、500円以下で推移。

1日の出来高は多くて20万株程度、融資残は30万株、貸株残は50万株、貸借倍率は0.6倍で、1日1株あたり5銭の慢性的な逆日歩がつく売り長の状態でした。 当時、ユシロ化学工業やソトーなどのキャッシュリッチ起業へのTOBが話題になっており、業績不調ながら158億円もの豊富な現預金を持つ同社も注目されていました。 3月4日から出来高は100万株を超え、その後は株価も急騰。


空売りを飲み込みながら、売り長は60万株に達し、8日には注意喚起銘柄に指定されました。 ところが12日に突然、信用の買い方が現引きをして貸借倍率は0.1倍に急変。 逆日歩が10倍の20円になると、それが6日間も継続。 その間の19日には、新規売り、現引き停止の措置がとられると、相場はいよいよ踏み上げ相場の様相を呈します。 そして、決算期末の最終売買日を翌日に控えた25日には、8万株の調達すらできなくなったのです。

信用取引の規制が功を奏し、過熱していた売買が沈静化すると、証券取引所は規制解除のガイドラインに沿って、段階的に規制を緩めたり解除したりします。 そのときには、出来高の減少、信用取引の申し込みの減少、信用残の割合の減少の3点がポイントになります。

規制の解除は即日公表され、証券取引所のホームページや、翌日の日本経済新聞の朝刊で確認することができます。