逆日歩と株価の急騰


たとえば、株価が1000円の銘柄を5000株売り建てしているときに、逆日歩が1円50銭(5銭からすると30倍)も付くと、株価が変化しないのに毎日7500円の負担を強いられることになります。 そうなれば、売り方は予想外の逆日歩に耐えきれず、買戻しせざるを得ません。 まして、買戻しを見込んだ仕掛け的な買いが増加すれば、株価は急騰し、さらに売り方は窮地に立たされてしまうのです。 貸株残高の増減の経過を見て、証券金融ベースで決められる品貸料がいくらになりそうかを推測すれば、売買のタイミングを計ることができるわけです。




信用買い残が過去と比較して大きく積み上がると、相場の動きは鈍くなります。 信用売が将来の買い要因になるのと同様、信用買いが将来の売り圧力になるからです。 2006年2月10日時点の3市場信用買い残高は5兆9836億円まで積み上がり、2005年1月の約2兆円と比較して3倍近く増加したことになります。 この間、日経平均株価は約40%も上昇しましたが、2006年1月のライブドアショックで急落すると案の定、資金の回転は止まり、大量の買い残が重くのしかかって、株価の上値を抑えてしまいました。



3市場買残が膨張を続けているときは、多少悪い重要指標が発表されても、市場参加者は数値は過去のものでこれからの動向が大事ともっともらしいことを言って、好材料だけに反応します。 しかし、突発的な悪材料で相場が急落すれば、それまでのスタンスを180度転換し、好材料には材料出尽くしで相場に臨むようになるのです。

こうした売り圧力を吸収するためには、1日の売買代金が継続的に3兆円を超える必要があると指摘されています。 買い残が急膨張しているときに市場全体が暴落する場面があれば、買い方が身を翻す前に撤退して、株式市場の様子をみることも大切なのです。


空売りを仕掛けたあとに、「昨日、売り建てしたときには逆日歩がついていなかったのに・・・」ということがあります。 実は、逆日歩が発生したかどうかは、翌日になってからでないと分からないのです。 これだけは注意していても避けることはできません。 信用取引にはさまざまなルールがありますが、少しずつ着実に理解していけば、それほど難しいものではありませんので、読み進めてください。

証券取引所などが株価の動きや売買状況に異常が認められると判断したときには、売買を規制することがあります。 取引規制は、現物取引にも信用取引にもありますが、現物取引では主に買いに対して適用され、信用取引では売りと買いの両方に適用されます。 過剰取引によって、一般の投資家が不足の損失を被ることがないようにするためです。

規制と投資の関係で大切なことは、第一にそれぞれの規制の内容や、規制が強化されていく段階を正しく把握することです。 次に、それぞれの規制が売り方と買い方のどちらに有利に作用する可能性があるのかを検討することです。 信用取引では、日々公表や増担保など取引所の規制と、貸株注意喚起や現引き停止、空売りの禁止など証券金融会社の規制に分かれます。 こした規制を有効なヒントにして売買することができれば、信用取引を自由自在に操れるようになります。