株価が戻り高値を更新する


強い上昇トレンドと信用買い残との関係で、見落としがちなことがあります。 相場が強いときは、大小さまざまな波動を織り交ぜて上昇しますが、ときおり、信用買い残が減少していくことがあります。 これが意外な買いの好機になることが多いのです。 種を明かしましょう。 上昇第一波では通常、信用買い残が膨らみます。 いったん目先の天井をつけて調整に入ると、シコリが出来て買い残は減少に向かうのが定石です。




ところが、相場が強ければ、第二波動が現れます。 株価が上昇するにつれて、信用買いした投資家が利益確定を急ぐために買い残は減少し、値動きはますます軽くなるわけです。 2005年3月からの新日鉄住金の株価推移をみてみましょう。 3月3日、同社の好業績予想を背景に294円の高値をつけましたが、信用買い残はやや遅れて、4月19日に1億5800万株のピークに達します。 5月25日の242円で値幅調整を完了すると、再び大きな上昇トレンドに突入。 しかし、前回の上昇時と違って、買い残は目に見えて減少しています。



そして、株価が戻り高値を更新する8月10日には、買残はピーク時の約60%に相当する9800万株まで整理され、その後は株価の上げ足は速まったのです。 一般的には、個別銘柄の信用残が大きく変化しても、株価の動きが劇的に変わるものではありません。 ところが、その後の経過を見ていると、トレンド転換のきっかけは、やはり信用残が大きく変化したところだったということがあります。

神栄(3004)は、2005年4月5日に437円の高値を付けたあと、値幅と日柄の調整に入ります。 5月17日には359円まで売り込まれると、調整一巡感から約3ヶ月にわたるボックス相場に入ります。 その間、信用残は減少を続けていましたが、10月4日には買残が一気に約550万株も減少して、舞台裏では何かが進展している気配。


前後の出来高を見ても大きな取引はなく、大量に現引きされたのは明らかです。 この時点で、株価の動きに大きな変化はありませんでしたが、大量保有していた株主から別の株主に玉移動したことが判明すると、株価は急騰劇を演じたのです。 このケースでは、360円付近で底値を確認していただけに、信用残の劇的な変化がレバレッジを利かせる絶好のチャンスだったといえます。 今後は、企業のM&Aが増加することが予想されるだけに、株価の変化には注意するべきでしょう。

貸借銘柄では、貸株残高が融資残高を上回ると株不足に陥り、株券を調達する必要が出てきます。 これらは、一般的に生損保などの機関投資家から入札形式で調達し、その料率を品貸料(逆日歩)といいます。

逆日歩は売り方が負担し、買い方はそれを受け取ります。 逆日歩は通常、1000株単位で1株あたり5銭程度ですが、応札が多いときはつかないこともあります。 逆に、証券金融会社の調達が難しくなれば逆日歩は増加し、これ以上の調達はできないと判断されれば、逆日歩は10倍になることさえあるのです。