貸株注意喚起と現引き停止の措置


空売りをするときには通常、各証券金融会社が証券会社に株券を貸し付けますが、その株券の調達が困難になる恐れがあると判断した銘柄は、株券を利用した取引、つまり空売りに対して貸株注意喚起を実施します。 この段階で、対面営業の証券会社はその銘柄の勧誘を自粛せざるを得なくなります。 それでも、相場に対する過熱感が冷めず、売り残が減少しないなど、状況が好転しないときにはもう一段の規制強化である貸し株申し込み制限や停止(空売り禁止)の措置がとられます。 新規の空売りができなくなれば、売り方は買い戻すしか決済の方法はなくなり、窮地に陥ります。




しかも、貸株注意喚起よりも規制が強化された時点では極端な株不足になっている可能性が高いため、逆日歩が通常の10倍という事態になれば、逆日歩狙いの買いも入り、踏み上げ相場の様相を呈します。 同時に現引き停止の措置もとられると、買い方も売り返済するしか方策はありません。 そして、買い残、売り残とも取られると減少し始めると、相場は沈静化に向かいます。 基本的に規制がかかったら、さらなる規制強化を想定して慎重な取引を行いましょう。 信用取引では、委託保証金として現金か、株券などの代用有価証券を差し入れる必要があります。



対面営業の証券会社には、委託保証金の一部は現金でという規定がありますが、ネット証券では多くの場合、必ずしも現金を差し入れる必要はありません。 ところが、特定の銘柄の株価が暴騰して過熱すると、投機的な動きを抑制するために、その銘柄の新規建てに対して増担保規制が実施されることがあります。

この増担保規制が行われると、通常30%の委託保証金率は、過熱感が収まるまで段階的に50%以上に引き上げられ、そのうち20%以上を現金として要求されるようになります。 ただし、既に買建て(売り建て)している分にさかのぼって適用されることはありません。


新規建には通常より多くの担保が必要になるため、建余力は低下し、株価の勢いは必然的に衰えます。 増担保は信用取引の売り方、買い方両方に規制されますが、実質的には加熱した相場を沈静化させる措置といえましょう。 また、新興市場に多い片道信用銘柄にも、増担保規制は適用されます。 相場が一方通行になりがちな片道信用銘柄は、規制で株価に勢いがなくなれば、今度は暴落して手痛い目に遭う恐れもあります。

銘柄ごとに発行株式数や浮動株は異なるため、この2つの指標と相場展開を十分に検討すれば、信用取引の規制時期を推測することができます。 例えば、発行株式数の大半が取引されれば、株式相場は過熱していると考えられ、規制される可能性も高まります。 浮動株比率も同様で、市場に流通している株式数が多ければ、株不足になっても株券の調達は容易ですが、発行株式数が少なく浮動株比率の低い品薄株は株不足に陥りやすいのです。

仮に新日鉄住金の空売りが増えて逆日歩が付いたとしても1日5銭がいいところでしょう。 しかし、品薄株の貸株残が異常なほど増加すれば、1日2円といった通常の40倍にも及ぶ逆日歩を課されるケースもあります。 このように、発行株式数や浮動株から規制強化の時期を予想できれば、踏み上げ相場で儲けることができますし、売り方はリスクを回避することができるわけです。