信用残と株価の変化


データの正確性は極めて高いとはいえ、その内容が前週分というのが問題です。 第一営業日(月曜日)以降に急動意した銘柄の信用残が反映されていないからです。 したがって、短期的な動向は毎日公表される日証金残高で把握し、その確認用として信用残を使うと、個別銘柄ベースの売り方と買い方の動向を正確につかむことができるでしょう。 ところで、信用残を表示できるチャートを使うと、時間の経過とともに信用残と株価がどのように変化しているかがわかります。




日産自動車(7201)のチャート左側では、株価の下落とともに買残は徐々に減少。 ところが右側では、株価は勢いよく上昇しているのに買残はピークをうち、需給は目に見えて改善しています。 しかも、出来高が急増しているときでさえ、信用残は減り続けているのです。 日証金残高や信用残を理解したところで、今度は信用倍率、貸借倍率と相場の関係を解説します。 まず、両者の違いを整理しましょう。



信用倍率は、前週末時点のすべての信用取引残高が対象で、投資家と証券会社との取引を反映しています。 一方の貸借倍率は、日証金が毎日発表する前日の融資・貸し株残高が対象で、証券会社と証券金融会社との関係を反映しています。

したがって、全体像なら信用倍率、速報性重視なら貸借倍率を見るべきです。 また、信用取引の期日は6ヶ月ですから、絶対期日までに反対売買をするか、現引きや現渡しをしなければなりません。 とはいえ、圧倒的に多いのは反対売買ですから、買い残が増加すれば、それは将来的な売り要因となり、売り残が増加すれば、株価を下支えする力になります。


ところで、小型株や新興市場の銘柄には、空売りできないものが多数あります。 そのような銘柄は、株価が急騰する過程で買残が大きく積み上がりますが、ひとたび上昇が止まると大量の買残が重石になって株価の上値を抑えるばかりか、急落の原因になってしまいます。 信用倍率と貸借倍率が整理できたところで、これらのデータを売買にどう活かせばよいのでしょうか。 信用取引の買い方と売り方の関係について考えなくてはなりません。

残高が多くてしかも倍率が高いことを取り組みが悪い、残高が多いのに倍率が1倍に近づく、もしくは1倍をきることを取り組みが良いといいます。 取り組みが悪いと買い残が将来の売り要因になり、株価の上値を抑えることになります。 逆に好取組だと、売り残が将来の買い圧力となり、株価の下値を支えることになり、場合によっては、空売りの踏み上げによって株価上昇の原動力になることがあります。

貸借倍率が1を切れば好取組と説明しましたが、これを売り長といいます。 この売り長になると逆日歩が発生したり、この状態で日経平均株価が上昇すれば、売り方は損失が無限大に膨らむことを恐れて買戻しに動き、株価の上昇に拍車がかかります。 これを踏み上げ相場といいます。 仕手筋などが空売りを上手に誘いこむのは、この踏み上げを狙うからなのです。